【正直な仕立て屋】

タルムード

ある国で大干ばつが起こった。何日も雨が降らず作物は枯れ、飲む水は無くなり次々と家畜の数が減っていきました。

そんな時、とある男が不思議な夢を見ました。夢の中で神から「服の仕立て屋の主人に祈り台に立たせ祈りを捧げさせなさい。そうすれば、大地に雨が降らせてやろう」と言われました。翌朝、その男は夢の内容を思い出したが祈り方も知らない服の仕立て屋を祈り台に立たせることなんてできないので、その夢は無視しました。

その後も祈り方を知っている人間を集めて祈らせましたが、一向に雨は降りません。

数日が過ぎ、その男はまた同じ夢を見ましたが無視し、そのまた数日後にまた同じ夢を見ました。同じ夢を3度も見たのでこれは神の意志だと思い、仕立て屋に祈らせることを決めました。仕立て屋はいつも使っている巻き尺を持って祈り台に立ち、自分なりの言葉で祈り始めました。

<span class="fz-14px">仕立て屋</span>
仕立て屋

神様、私は仕立て屋の仕事を始めて40年になりますが、一度も人を騙したり汚い商売をしたことはありません。私が普段使っているこの巻き尺は見ての通り一分の狂いもありません。他の仕立て屋は目盛りの狂った巻き尺を使って商売しています。粉屋や油屋も狂った秤を使って不当な金額を請求しています。私の普段の行いを評価していただけるのであれば、どうかこの地に雨を降らせてくださいませ。

仕立て屋の祈りが終わると、大粒の雨が降り始めました。人々が歓喜の声を上げ、国中が救われました。この奇跡を目の当たりにしたお店の店主達は急いで自分の店に帰り、巻き尺や秤を正確な物に取り替えました。そして、人を騙したり不正な商売をする者はこの国からいなくなりました。

その様子に満足した神様は、この国に定期的な雨を降らせました。

おしまい

商売で大切なこととは?

商売をやられている方、商売で大切にされていることは何ですか?

私は利益を出すことだと思います。

では、周りのみんなが不当な利益を得ていたら、あなたも不正な商売や偽装工作をしますか?

しないにしても、してもいいと思いますか?

みんながしているなら自分もしないと損だと思いませんか?

働いているとこのような誘惑に駆られることは正直あると思います。私はあります。ただ、その一歩をまだ踏み出したことはありません。もっと売上目標などのノルマが厳しい職場ならしているかもしれませんが。

この物語では、商売するにあたって正直な生き方を貫くことの大切さを教えてくれています。

いくら周りの同業他社や他業種のお店で不正な商売をしているのを知っていても、自分はそのようなことに手を染めず、正直な商売を続けた仕立て屋がいたからこの国は干ばつから救われました。

ユダヤ教における「お金」とは?

ユダヤ教ではお金は大切なものとして扱うそうです。お金がなければ食べていけない、お金がなければ子どもに教育を与えられないなどと考えるため、「貧しくても幸せに生きられればいい」なんて思わず、貧しいことは不幸だと思われます。

しかし、お金を追求しすぎると「適正さ」「正直さ」という大切なことを忘れてしまうことを教えられます。この物語を子どもの頃に聞かされれば、商売にとって大切なことはなにかを学べるでしょう。

私の妄想 ~ おわりに

この物語を深読みすると、不思議な夢を見た男は「服の仕立て屋に祈りを捧げさせろ」という夢を見ただけで、仕立て屋の○○に祈りを捧げさせろと指名はしていません。物語を読む限りこの国には正直な仕立て屋と正直ではない仕立て屋がいて、なぜ夢を見た男はこの仕立て屋に決めたのか気になります。

私の希望としては、この仕立て屋はいわゆる良い人として有名で、仕立て屋の中でも一番信頼のおける人だったのから指名されたのであってほしいです。もっと言うと、狂った巻き尺を使って儲けようとする悪い仕立て屋がいる中で正直な商売をしているが故に儲けられていない状況を神様は知っており、この正直者で報われていない仕立て屋を報わせるようにあの男に夢を見させてそうなるように仕向けたのではないかと思います。この正直な仕立て屋が祈りの中で不正をしている例え(粉屋と油屋)を出したことによって、国全体の商売がクリーンになったことは神様からしたら嬉しい誤算だったのではないかなと思います。

すみません、妄想しすぎました。

あなたならどう考えますか?

なぜ神様は祈り方も知らない仕立て屋に祈らせようとしたのでしょうか?

私は国全体の商売がクリーンになったことは神様も予想していなかったと思いますが、あなたはどう思いますか?

ぜひ家族や友達などの会話のネタに使っていただけると幸いです。

以上になります。ありがとうございました。

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