【楽園を見つけた男】

タルムード

ある村に粉屋の男がいました。男は妻と子と暮らし、毎日粉まみれになりながら真面目に働いていました。そんな日々の繰り返しに嫌気が差し、世界のどこかに楽園があるのではないかと思いました。

粉を買いに来たお客さんから、ある国の言い伝えを聞きました。旅に出て、夜寝る時に枕元に靴を置き、起きた時に靴が向いている方向に進むとあなたにとっての楽園があるとのことです。

粉屋の男は言い伝えに感銘を受け、ある日突然、妻や子ども達に黙って楽園を探す旅へ出ました。言い伝えの通り、夜になると靴を脱いで枕元に置いて寝ました。

翌朝、男は目を覚ますと靴の方向を歩き続けました。

何日もその言い伝えの通り靴の方向へ歩き続けることを繰り返し、ついに一つの村に辿り着きました。しかし、楽園というにはずいぶんみすぼらしい村でした。

村に入ると見覚えのある光景が広がっており、聞き覚えのある女と子の声が聞こえてきました。その声の方へ向かうと粉屋があり、そこでは置いてきた妻と子に似た母子が暮らしており、男の顔を見るや「おかえり」と温かく迎え入れ、自分がもともと暮らしていた家だとようやく気が付きました。

男は置いてきた妻と子に申し訳ない気持ちもあったが、この粉屋で働き、妻と子と暮らすここが自分にとっての楽園だと確信しました。

それから男は来る日も来る日も粉まみれになりながら一生懸命働き、妻と子と平和に暮らしました。

おしまい

大切なものや幸せはどこ?

粉屋の男はいまの仕事や生活に嫌気が差し、別なところにあるであろう幸せを求め旅に出ました。しかし、実はこれまでの暮らしこそが自分にとっての楽園だということに気付かされました。

この物語では、本当に大切なものはすぐ近くにあるということを教えてくれています。これは非常に見落としがちな考えだと思います。親孝行したいときに親はもういないという言葉を時々耳にしますが、似たような意味だと私は感じました。いまあなたが置かれている立場や環境を思い返し、いまの生活やあなたの場所をぜひ大切にしてください。そんなキッカケになれば幸いです。

天国ってどんなイメージ?

あなたは「天国」と聞くとどんなイメージを持ちますか?

複数の天使がパタパタ飛んでおり、女神様も天使も誰もが微笑んでみんな幸せそうで、全体が白を基調としたなんだか柔らかいイメージを私は想像します。まさに楽園ってイメージです。

しかし、ユダヤ教では少し違うようです。本当の楽園やパラダイスというものは死後の世界や別の場所にあるのではなく、あなたがいまいる場所にあると考えられています。だから、いまの生活やあなたの場所をぜひ大切にしなさいと考えるそうです。

おわりに

仕事や人間関係などストレスが溜まる要因はいくらでもあります。では、別の職場や環境に身を置いたら全てが解決するでしょうか?いまの問題は解決するかもしれませんが、おそらくまた新たな問題が発生するでしょう。いま発生しているストレスの要因や問題について一度別の視点で見直してみると、解決策は案外スグに見つかるかもしれません。

いま生きている人生を有意義にするもしないもあなた次第だと思います。あとは行動するかどうかじゃないですか?

あなたならどう考えますか?

以上になります。ありがとうございました。

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